寄稿SeasonⅢ②
Season Ⅲ ②嘉田由紀子さん(参議院議員)
嘉田由紀子さん(参議院議員)
聞き手・Masaくん(気弱なジャーナリスト)
Masa 個別のケースを深く見ていく大切さを感じたそうですね。
嘉田 ある女子高生が私のところに、どうしても話をしたいと言ってこられたので、1時間ほどズームで直接顔を見ながらお話しさせていただきました。首都圏に住む当時高校2年生のYuaさんです。私がよく「共同親権」を口にするのでいろいろ調べてみると、自分もこのことを勉強し、そして実践している、と言うんですね。
Yuaさんは両親が離婚し、家裁での話し合いで「どちらかの親を選びなさい」と言われました。それで、週の前半はお父さん、週の後半はお母さんと、行ったり来たりしているとのことでした。それこそ教科書を持って制服を持って行き来するのですけれども、両方から学校に通うのは不便がない、と。でも、友達は「親が離婚したらどちらかの親を選ぶべきで、行ったり来たりするのはおかしい」と白い目で見る、と。
海外では共同親権が普通なのに、日本では私のようなケースがおかしいと思われるのはなぜなんだろう、とYuaさんは悩んでいたそうです。
そこで「今の暮らしは楽しいですか?」と聞くと、週前半はお父さんは早く仕事に出て、お弁当も作ってくれ、夕方早くに帰ってきてくれて楽しい、アニメのことなどお父さんから学ぶこともいっぱいある、と。一方で週後半は、お母さんと暮らす弟さんがいて、こちらも楽しいとのことでした。経済的にも、お父さんが学費を出すなどしてくれて安定している様子でした。
私はYuaさんに100年以上前の明治民法の話をしました。当時はイエ制度の下、子供は家の跡取りとして、ある意味で家の所有物のように扱われていました。例えば女性が離婚する際に子供を連れ出すと家が成り立たなくなるので、単独親権制度が必要でした。戦後、女性も親権を取れるようになりましたが、今度は子育ては女性ということで、離婚後の親権は大半が女性。そこで今のような状態になっているのだけれども、国際的に見ると主要先進国では日本だけが明治民法のような状態で、親子が引き裂かれている。そう伝えました。
Yuaさんは「もっともっと勉強したい」ということだったので、私が作った法務委員会の冊子を送らせていただきました。「政治家は若い人が少ないので、(親権問題は)改善されない」というのが、Yuaさんの思いのようでした。
更新 2022-02-14 (月) 07:06:45
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