寄稿SeasonⅠ④
寄稿Season Ⅰ ④遺書
Aikoさん(千葉県の訪問介護士、70歳)
聞き手・Masaくん(気弱なジャーナリスト)
Masa 衆院選の渦中ですが、親子断絶問題も大きなテーマの1つだと思います。今後4年間の政権を選ぶ選挙に1票を投じない人に意見を述べる資格はありません。
Aiko2007年7月3日、長男は働き盛りの32歳で自死しました。妻との離婚によって当時3歳の我が子と引き離され、なすすべもなく絶望感から発作的に命を絶ってしまいました。以下、遺書です。
「私は何でも1人で解決しなければと無理して頑張ってきたのもかもしれません。振り返ると小学校から高校までリーダーシップをとって周りの人々を幸せにすることを生きがいにしてきました。大学以降は妻をそして息子を幸せにすることを生きがいとしてきました。研究は、人類への貢献という大きな野望の下で行ってきました。予備校の授業では生徒が幸せになることをできる限り考えました。そして一番大切なものを幸せにできないと分かった今、完全に希望を失い、これまでの人生が何だったかさえ分からなくなりました。私も生きたい。しかし、自分に誠実にと思うと生きていることが苦しくなりました。それが『無我』なのかもしれません」
父へ「今ではあなたの子として生まれた事を誇りに思っています。だから、もっと自信をもって生きて下さい。あなたの頑固さが私を強くしてくれた。ありがとう」
母へ「あなたと最後にじっくり話ができてよかった。こんなに話をしたのは初めてですね。あなたの忍耐力は想像を絶するものがあります。介護福祉士はあなたの天職です。必ず成し遂げて下さい。今後、引き継ぎの連絡などよろしくお願いします」
弟へ「君と幼少の頃からの戦いが私を兄として強くしてくれた。あなたには私の分まで生きてほしい。これからも大変だと思うが、常に『真』たれ」
更新 2021-10-29 (金) 07:34:23
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