寄稿SeasonⅧ ①
Season 8「共同親権」考 ①
離婚後も父母がともに子の親権を持つ「共同親権」を導入する民法改正案について、法務省の方針は依然定まりません。そんな中、作家・高橋孝和さんの著書「共同親権が日本を救う~離婚後単独親権と実子誘拐の闇~」(2021年5月12日第1刷発行、幻冬舎メディアコンサルティング)のページをもう一度開いてみました。
昨年末までのほぼ1年間にわたってアップした「親子断絶を問う」の続編として、短期集中ですが随時連載したいと思います。
以前に触れたかもしれませんが、高橋さんは、まえがきにこう書いています。
「この問題は後述のように、ある日突然、あなたの身に降りかかってくる可能性がある恐ろしい問題です」。さらに「我が国が、何ら合理性のない差別を自ら排除できる成熟国家になるのか、あるいは明らかな差別について、何ら問題がないかのように言いくるめるような、声が大きいだけの勢力が跋扈し続ける国であり続けるのかについて、重大な試金石となります」と。
確かに、我が子の連れ去り・誘拐を経験した父や母らの話を聞いていて、もし自分も当事者となったら、それは「恐ろしい」ことだと実感しました。突然切り離され、実の子なのに会えない親は居場所も分からず、生死も分からず、ただうろたえるでしょう。それは、憲法で保障された基本的人権に反する「差別」と言うほかありません。
高橋さんの2人の息子さんは、同じ父親を持つ兄弟であるにもかかわらず、お互いの顔を知らないということです。終わりにに、こう書いています。
「本書を出版したもう一つの目的は、数十年後に、二人の息子に読んでもらうためです。その意味で、本書は筆者による「遺書」に当たります」。「将来二人が、「自分たちは、親世代以上が残した「単独親権」という愚かな制度の被害者である」という事実を理解し、(中略)「兄弟で仲良く協力して、これからの人生を切り開いていかなければならない」ことを、正しく理解するきっかけになってくれれば、と切に願っています」
ボクは「遺書」という言葉が涙でぼやけました。
【気弱なジャーナリスト・Masa】
更新 2023-03-06 (月) 09:14:09
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